老齢年金の繰り下げ受給

      2017/03/29

はじめに

このページの記述は昭和16年4月2日以降に生まれた方を対象としています。

老齢基礎年金・老齢厚生年金の繰り下げ

老齢基礎年金および老齢厚生年金の支給開始年齢は65才ですが、本人の希望により支給開始年齢を遅らせることができます。この制度を「繰り下げ支給」といいます。繰り下げを請求した場合、1ヶ月に付き0.7%年金が増え請求した翌月から支給されることになっています。ただし、繰下げを行うためには1年以上支給開始年齢を遅らせることが必要なので、66歳以降に繰下げの手続が可能になります。

増額率は60ヶ月の42%が上限です。70才以降に繰り下げの申し出をしても増額率は42%で頭打ちになり、かつ支給は請求した月の翌月からです。これでは、たとえば71才に請求した場合70才から71才までの分が支給されないことになってしまいます。

平成26年4月以降の老齢厚生年金の支給開始年齢と増額

平成26年4月から、70才を超えてから繰り下げの申し出をした場合、70才までさかのぼって70才到達の翌月から支給されることになりました。また、繰り下げ待機中に他の年金の受給権が発生した場合、繰り下げ請求の申し出が遅れた場合でも他の年金の受給権が発生した翌月までさかのぼって支給されることに改正されました。

ただし、平成26年4月1日前に70才を超えている人が平成26年4月1日以後に繰り下げ支給した場合は、平成26年4月1日までしかさかのぼれません。また、年金給付を受ける権利の時効は5年ですから、繰り下げ請求が遅れたことによるさかのぼり期間は5年が上限となります。

また、老齢基礎年金は原則どおり受給して、老齢厚生年金のみを繰下げすることも可能です。

振替加算を受給できる人が老齢基礎年金の繰下げを行った場合。

振替加算も老齢基礎年金が支給されるまで受給することができません。なお、振替加算は増額されないので、原則どおりの支給額となるので、注意が必要です。

老齢基礎年金を65歳から受給した場合と、70歳から受給した場合の受取総額の比較

受給開始年齢 65歳 70歳
年金の支給率 100% 142%
70歳時受取総額 4,752,600 1,124,800
72歳時受取総額 6,336,800 3,374,400
74歳時受取総額 7,921,000 5,624,000
75歳時受取総額 8,713,100 6,748,800
80歳時受取総額 12,673,600 12,372,800
81歳時受取総額 13,456,700 13,497,600
82歳時受取総額 14,257,800 14,622,400
83歳時受取総額 15,049,900 15,747,200
85歳時 16,634,100 17,996,800

82歳を過ぎると、70歳から繰り下げて年金を受け取る方が支給総額は多くなることになります。(平成28年現在の条件を元に算出しています。)

繰り下げをするつもりで待機している間に障害年金や遺族年金の受給権が発生した場合。

障害年金や遺族年金を受給している場合は、老齢基礎年金の繰下げを請求することができません。もし、繰下げの請求する予定で66歳以降も老齢基礎年金の裁定請求を行わず待機している間に、他の年金の受給権が発生した場合は、以下の3つの選択肢から受給する年金を選択します。

①他の年金の受給権が発生した時点で、老齢厚生年金の繰り下げを請求し増額された老齢年金を受給する。

②他の年金の受給権が発生した時点で、繰り下げしていた老齢基礎年金を一括受給して、そのご、増額されない老齢年金を受給

③他の年金の受給権が発生した時点で、繰り下げしていた老齢基礎年金を一括受給し、その後、他の年金を受給。

 

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