国民年金任意加入

   

国民年金に任意加入する目的

国民年金の加入期間(保険料を払い続ける期間)は20歳から60歳までの「40年間」と決まっていますが、60歳以降も保険料を払い続ける「任意加入」という制度が存在します。本来は任意加入する目的では無く、「任意加入させる狙い」が正しい見出しかもしれません。

年金受給権を獲得するため任意加入する

老齢基礎年金は40年間のうち原則25年以上が、下記のいずれかでなければなりません(注:将来10年に短縮予定)。

・保険料を納付した期間
・保険料を免除された期間
・カラ期間

要は60歳時点で、3つの期間で25年に満たない(未納期間が15年を超えている)人は、1円も年金が受け取れないことになります。そのため、この25年という期間を満たせるように保険料支払いを延長することを認めています。

年金額を増やすために任意加入する

65歳以降支給される老齢基礎年金の額は、40年間にどれだけ保険料を納めたかで決定します。40年間(480月)全て保険料を納付したなら、満額の78万1000円(平成28年度価格)となります。

したがって、40年の間に未納期間があったり、保険料免除の期間があったりすると、その期間に応じて年金額が減少することになります。

例)40年のうち30年間(360月)保険料を納付、残りの10年間は未納期間となっている場合
年金額=78万1000円×360/480=58万5750円(満額の3/4)

約20万円少なくなっています。こういった場合に年金を少しでも増やしたい人のために、任意加入制度によって、60歳以降も延長して保険料を納めることが認められています。

ただし、受給額を増やすためと言っても60歳以降に新たに保険料を負担するので慎重に考える必要があります。また、この制度は満額もらえない人が満額に近づけるために加入するもので、満額に達した時点で終わりになります。(満額以上にはなりません)

国民年金に任意加入できる期間には上限がある

60歳以降に国民年金の任意加入ができる期間は次のとおりです。
・「保険料の増額」は65歳
・「受給権の獲得」は70歳(65歳以上の任意加入は昭和40年4月1日以前生まれが対象)
まで任意加入ができます。 保険料の増額についてはいつでも辞められますが、最長、満額に達するまで。受給権の獲得についても、65歳以降受給権が獲得できるまでが任意加入期間となります。

国民年金の任意加入は、する価値があるのか(年金額を増やす場合)

現在年金額は78万1000円で、これは40年間(480月)保険料を納めることでもらえる額なので、77万2800円を40(年)で割ると1年掛け金を支払ってもらえる年金額、480(月)で割ると1カ月当たりの年金額がわかります。

78万1000円÷40年=19525円
78万1000円÷480月=1627円

大雑把にいうと、「保険料を1カ月納付すれば年金が1630円増える」事になります。

1カ月の保険料が1万6260円(平成28年度)ですから、1万6260円払うことで1630円年金額が増えることになります。
1万6260円÷1630円=約9.9年

約10年で元が取れるという計算です。あくまで現時点の試算です。

国民年金の任意加入は、果たしてする価値があるのか(受給権の取得の場合)

老齢基礎年金は25年保険料納付、免除、カラ期間で満たさなければ1円も支給されません(注:10年に短縮予定)。仮に25年間が全て、保険料を納付した期間ならば、次の年金額が支給されます。

78万1000円×300/480=48.8万円

これを80歳まで(15年間)受け取るとすると、大雑把な計算ですが、次の金額となります。

48.8万円×15年=732万円

25年にあと少しという状況なら、任意加入をすべきです。24年0ヶ月の場合でも、19万5000円(年間保険料)支払えば約700万円受け取る権利が得られます。万が一、1年で亡くなってしまっても、すでに元は取れている上、遺族年金などの可能性も残ります。

ただし、カラ期間や免除期間が多い場合は注意が必要です。カラ期間は25年を満たすための救済制度で、その期間は年金額には反映されません。また免除期間は保険料を納付した期間よりも年金額が少なくなります。

よって、カラ期間や免除期間が長く、しかも受給権獲得のため長期間任意加入をしなければならない場合(10年間加入で約200万円の保険料が必要)は、年金事務所等でしっかり確認する必要があります。

また、年金は受給権を獲得してからしか受け取れません。受給権を獲得できたのが70歳なら、70歳からしか年金を受け取れないことになります。(さかのぼり受給はできません)

結論:任意加入するべきなのか?

結論として、以下の2つのことが言えます。

①60歳時点で、年金受給権がない場合
60歳時点で、まだ老齢基礎年金の受給権がない場合で、任意加入することで受給権が満たせるなら、基本的に任意加入をするのが良いでしょう。

②受給権はあるが、年金が満額ではない場合
増額のための任意加入については、9.9年受け取れば元が取れるということなので、長生きすればするほど得することになります。また、受給権獲得のための任意加入は最長でも10年です。10年任意加入しても受給権が獲得できなければ、任意加入する意味がありません。受給権獲得のための任意加入をする際には年金事務所で、「任意加入をすることで受給権を獲得できるのかどうか」を確認することが肝心と考えます。

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