寡婦年金(一人残された奥様のために)

   

寡婦年金とは

寡婦年金とは字から想像できるように「寡婦」に支給される年金です。残念ながら「寡夫」には支給されません。

寡婦とは、一般的に、夫と死別または離別し、再婚していない女性のことをさし、税制にも寡夫控除、特別寡夫控除などがあることからご存じの方も多いかと思います。

一家の大黒柱に万が一のことがあった際、残された遺族に対して遺族年金が支給されますが、遺族年金との関係はどうなっているのでしょうか?遺族年金には、国民年金から支給される「遺族基礎年金」と厚生年金から支給される「遺族厚生年金」があります。寡婦年金は国民年金の第1号被保険者期間があった方が亡くなった場合に支給されます。

ここで、国民年金から支給される遺族基礎年金の支給要件を確認してみましょう。

遺族基礎年金は、「子のある配偶者」または「子」に支給されます(※「子」は18歳年度末まで(一定の障害がある子は20歳未満)。おわかりのように夫が死亡したときに「子の無い妻」には支給されません。子が18才以上なら子にも支給されません。長年、国民年金保険料を払ってきた夫が、自分の老齢基礎年金を受け取らずに亡くなり、妻も遺族基礎年金を受け取れないということになると、今まで払ってきた保険料が全くの「掛け捨て」ということになってしまいます。この掛け捨て防止のために寡婦年金があると言われています。

寡婦年金を受け取れる妻

「夫に先立たれた妻」ということなのですが、一定の要件があります。

まず、亡くなった夫が第1号被保険者として老齢基礎年金を受給できる資格があったこと(第1号被保険者として受給資格期間(現在原則25年)を満たしていること)が必要です。老齢基礎年金を受け取る権利があるにもかかわらず、受け取れず亡くなったことが必要です。

次に、婚姻生活が10年以上あり、夫により生計を維持されていたこと。そして夫が老齢基礎年金の他、障害基礎年金も受け取ったことがないこと。

これらの要件を満たす必要があります。

ただし、老齢基礎年金を受給できる資格については、第1号被保険者として保険料納付済期間と免除期間で原則25年間なければなりません。会社員や公務員、被扶養配偶者(第3号被保険者)としての期間は含めないことに注意が必要です。

受給期間は60歳から65歳までの最長5年間

先ほどの要件を満たした上で支給される寡婦年金ですが、受け取れる期間は、60歳から65歳まで最長5年間の期間限定年金なのです。

夫が死亡した際に、妻の年齢が60歳未満の場合は、60歳まで支給を待つことになり、60歳を過ぎていた場合は、支給期間はそこから65歳までとなり、5年間ない事もあり得ます。また、65歳からは妻自身に「老齢基礎年金」が支給されるため、それまでの「つなぎ」という意味合いもあるのでしょう。したがって、老齢基礎年金を繰上げてしまうと寡婦年金の支給が打ち切られてしまいます。

老齢基礎年金を繰上げ受給すると、寡婦年金を受け取れないため、(2重に支給してしまうことを避けるためだと思います。)繰上げを検討される場合には、寡婦年金の事も考えてみる必要があるでしょう。

支給額は夫の老齢基礎年金の4分の3

支給額は、夫が受け取れるはずだった老齢基礎年金の4分の3です。ただし、この「老齢基礎年金」とは、第1号被保険者期間に対して支給される分に限ります。上で述べたように第2号(サラリーマン)や第3号(主夫)であった期間は含まれません。

したがって、仮に夫が満額の老齢基礎年金(平成27年度は780,100円)を受けられるはずだったとしても、国民年金の被保険者期間の中に、第2号、第3号期間がある部分は除かれた上で計算されることになります。

例えば、夫が20歳から60歳まで40年間のうち第1号被保険者期間が30年あり、すべて保険料を納付しているとすると、第1号被保険者としての年金額(平成27年度)は、

  • 780,100円×360月/480月=約58万5000円

となり、受け取れる寡婦年金は、

  • 585,000円×3/4=約44万円となります。

寡婦年金と死亡一時金はどちらか選択

遺族に支払われる「掛け捨て防止の給付」にもう一つ「死亡一時金」というものがあります。両方受け取れる場合は、「どちらか選択」となります。

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