医療費が高すぎる。でも大丈夫|高額療養費制度

      2016/06/25

高額療養費とは

高額療養費制度は、医療費の自己負担に一定の歯止めを設ける仕組みです。

近年、ガンをはじめとして、医療の長期化・費用の高額化が目立つようになってきました。もちろん、治癒して以前と変わらない生活が送れるようになったのはすばらしいことですが、一方では家計に対するダメージは相当なものです。そこで、健康保険には一定額以上の自己負担額は還付する仕組みがあります。それを高額療養費制度と言います。高額療養費制度は医療機関や薬局の窓口で支払った額(※)が、暦月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。負担の上限額は、年齢や所得によって異なり、最終的な自己負担額となる毎月の「負担の上限額」は、加入者が70歳以上かどうかや、加入者の所得水準によって分けられます。

※入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。

高額療養費を計算する

70歳未満の場合

所得区分 ひと月あたりの自己負担限度額 多数回該当(4回目以降)
年収約1,160万円以上の方、
健保の場合標準報酬月額が83万円以上または
国保の場合年間所得901万円超
252,600+
(医療費-842,000)×1%
140,100円
年収約770~約1,160万円の方
健保の場合標準報酬月額53万~79万円
国保の場合所年間所得600万~901万円
167,400+
(医療費-558,000)×1%
93,000円
年収約370~約770万円
健保の場合標準報酬月額28万~50万円
国保の場合年間所得210万~600万円
80,100+
(医療費-267,000)×1%
44、400円
~年収約370万円
健保の場合標準報酬月額26万円以下
国保の場合年間所得210万円以下
57,600 44,400円
住民税非課税(*1) 35,400 24,600円

(※1) 「年間所得」とは、前年の総所得金額及び山林所得金額並びに株式・長期(短期)譲渡所得金額等の合計額から基礎控除(33万円)を控除した額(ただし、雑損失の繰越控除額は控除しない。)のことを指します。(いわゆる「旧ただし書所得」)

70歳以上75歳未満の場合

被保険者区分 自己負担限度額
外来(個人ごと) 外来・入院(世帯)
①現役並み所得者
(標準報酬月額28万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の方)
44,400円 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
[多数回該当:44,400円]
②一般所得者
(①および③以外の方)
12,000円 44,400円
③低所得者
(住民税非課税)

(Ⅰ以外の方)
8,000円 24,600円

(年金収入のみの方の場合、年金受給額 80 万円以下など、
総所得金額がゼロの方)
15,000円

<例>70歳未満、年収約370~約770万円の方が
100万円の医療費で、窓口の負担(3割)が30万円かかる場合
医療費100万円
窓口負担30万円

高額療養費として支給30万円-87,430円= 212,570円
負担の上限額80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1% = 87,430円
212,570円を高額療養費として支給し、実際の自己負担額は87,430円となります。

さらに負担を軽減する仕組み

同一の医療機関等における自己負担(院外処方代を含みます。)では上限額を超えないときでも、同じ月の複数の医療機関等における自己負担(70歳未満の場合は2万1千円以上であることが必要です。)を合算することができます。
この合算額が負担の上限額を超えれば、高額療養費の支給対象となります。
さらにご負担を軽減する仕組みもあります。
高額療養費制度では、「世帯合算」や「多数回該当」といった仕組みにより、さらに最終的な自己負担額が軽減されます。

(1)世帯合算

お一人の一回分の窓口負担では、高額療養費の支給対象とはならなくても、複数の受診や同じ世帯にいる他の方(同じ医療保険に加入している方に限ります。)の受診について、窓口でそれぞれお支払いになった自己負担額を1か月(暦月)単位で合算することができます。
その合算額が一定額を超えたときは、超えた分を高額療養費として支給します。
※ ただし、70歳未満の方の受診については、2万1千円以上の自己負担のみ合算されます。
<例>
被保険者Aさん
甲病院自己負担額  60,000円  (医療費:200,000円)
乙薬局自己負担額  24,000円  (医療費:80,000円)
被扶養者Bさん
丙病院自己負担額  30,000円  (医療費:100,000円)
世帯合算を適用し
世帯合算後の自己負担額=60,000円+24,000円+30,000円=114,000円

従って、高額療養費の支給対象となる

(2)多数回該当

直近の12か月間に、既に3回以上高額療養費の支給を受けている場合(多数回該当の場合)には、その月の負担の上限額がさらに引き下がります。上記表を参照ください。

入院される方は用意する費用が少なく済みます。限度額適用認定証

入院される方については、加入する医療保険から事前に「所得区分」の認定証を発行してもらうことにより、医療機関の窓口での支払を負担の上限額までにとどめることもできます。このため、一度に用意する費用が少なくて済みます。
<例>70歳未満、年収約370~約770万円の方
100万円の医療費で、窓口の負担(3割)が30万円かかる場合

通常の場合

所得区分の認定証がある場合
入院される方は病院に自己負担額30万円を支払い、その後高額療養費の支給申請を行い「高額療養費」として21万円の支給を受けます。

限度額認定証を提出した場合

入院される方は病院に対して「一定の限度額」(約9万円)を支払います。
病院が加入する医療保険に対して高額療養費の支給申請を行います。保険者は高額療養費として約21万円を支払います。
※ 高額療養費が医療機関や薬局に直接支払われるため、加入する医療保険に対して、事後に高額療養費の支給申請をする手間が省けます。
※ 70歳以上の方は、所得区分の認定証がなくても、自動的に窓口での支払が負担の上限額までにとどめられます(低所得者の区分の適用を受けるためには認定証が必要です)。

詳しくは限度額適用認定証をご覧ください

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