第1号被保険者独自の給付

   

国民年金には、3つの独自の給付がある

国民年金は基本的に、65歳に達したときに「老齢基礎年金」・何らかの原因で障害を負った場合は「障害基礎年金」・生計維持者が死亡した場合で子の養育が必要な場合は「遺族基礎年金」の3つが支給されます。

厚生年金についても、国民年金と同様な年金が支給されます。さらに、国民年金にはこれ以外に「独自の年金」があります。

それは、第1号被保険者に対する
1)付加年金
2)寡婦年金
3)死亡一時金

です。

1)付加年金

付加年金は、国民年金保険料に400円を追加して支払う(付加保険料)ことにより、将来受け取る老齢基礎年金に上乗せされるもので、「2年もらえば元が取れる」事になります。
付加保険金=200円×保険料納付月数。
ただし、あくまで老齢基礎年金の上乗せなので老齢基礎年金が受給できない場合は付加年金も受給できません。

2)寡婦年金

寡婦年金は、25年以上国民年金保険料(保険料を払っているか免除してもらっている期間が)を支払っていた夫が老齢基礎年金を受け取らずに亡くなって、妻が遺族基礎年金を受け取れない場合、60歳から65歳になるまで(5年間)支給されるものです。ただし、死亡した夫が障害基礎年金の受給権者であったときや老齢基礎年金をすでに受給していた場合は支給されません。年金額は夫が生きていれば受け取れていたであろう老齢基礎年金の3/4です。
寡婦年金は、遺族基礎年金が、18歳未満の子供がいる場合にしか支給されないため、自分自身の年金(老齢基礎年金、障害基礎年金)も受け取らないで、かつ、遺族も何も給付をうけられない、いわゆる「保険料の払い損」に対応するためにあります。政府としては保険料を徴収するだけして、何も給付が受けられないというのは、避けなければならないことだったのでしょう。

3)死亡一時金

死亡一時金は、第1号被保険者としての保険料を3年以上納めたものが老齢基礎年金・障害基礎年金をいずれも受けないで死亡したときに、遺族が遺族基礎年金を受けられない場合に、一定の範囲の遺族に支払われます。

ここでお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、寡婦年金と死亡一時金の要件は重なるところがあります。(両方受ける権利が生ずるということです)この場合は受給権者の選択によりどちらか一方が支給されます。

死亡一時金の額は保険料を納めた期間により異なり、3年以上で12万円支給され最高で32万円となります。付加保険料を3年以上納めている場合は8500円が加算されます。

寡婦年金と死亡一時金どちらがお得なのか?

死亡一時金
1回きりの給付で、保険料納付済期間の長さにより、12万円から32万円。
寡婦年金
60歳から65歳になるまでの5年間で、夫が受け取れたであろう老齢基礎年金額(第1号被保険者期間部分)の4分の3。仮に、保険料を25年間(300月)納付していたとすると、36万円程度になります。

これだけ見ると、誰だって寡婦年金を選ぶと思われます。しかし、いくつかのポイントがあります。

今何歳なのか?

奥様は今何歳なのか。今すぐに寡婦年金がもらえる状態(60才以上)なら寡婦年金で問題ないと思います。しかし、今50才以下なら寡婦年金をもらうまでに10年以上あります。その間に忘れてしまうと寡婦年金はもらえません。(請求することが必要です。)ちなみに、一番最初に奥様と書きました、その理由は、この寡婦年金は専業主夫(男性)には支給されません。

年金額の比較

妻の老齢基礎年金の繰り上げ受給と寡婦年金

60歳になっていれば、妻自身が自分の老齢基礎年金を繰り上げ受給できます。そうなると、繰り上げ受給する自身の老齢基礎年金と寡婦年金の間で受給額を比較し多い方を受け取るのがお得です。ただし、たとえ少なくても65歳まで我慢できる経済状況であれば寡婦年金を選択すれば65才以降の年金の目減りを防ぐことができます。死亡一時金を選択すれば問題なく繰り上げ支給の老齢基礎年金と併給されます。

妻自身の老齢厚生年金と寡婦年金

妻が長期間会社員だったような場合は60歳から受け取ることができる自分自身の老齢厚生年金と寡婦年金のいずれかを選択して受給することになります。老齢厚生年金は現役時代の報酬額と加入期間により計算されます。会社員だった期間が長ければ長いだけ老齢厚生年金が増えていきますから十分注意が必要です。その他注意は「妻の老齢基礎年金の繰り上げ受給と寡婦年金」の場合と同様です。

老齢厚生年金の方が、金額が多ければ死亡一時金を選択して老齢厚生年金を受け取るのが有利です。

まとめ

死亡一時金と寡婦年金は、どちらか一方しか受給できません。死亡一時金は額はわずかですが、要件が緩やかで、併給制限を受けずに、老齢基礎年金を繰上げしても、老齢厚生年金を受け取っても、また遺族厚生年金を受け取ったとしても、受け取れます。自分の状況に合わせて賢い選択をしましょう。

 

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